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第８章　　万物節　　
山村 暮鳥 詩　  　高見 優子 朗読
　		 　
 雨あがり
 しっとりとしめり
 むくむくと肥え太り
 もりあがり
 百姓の手からこぼれる種子（たね）をまつ大地
 十分によく寝てめざめたやうな大地
 からりと晴れた蒼空
 雲雀でも啼きさうな日だ
 いい季節になった
 穀倉のすみっこでは
 穀物のふくろの種子もさへずるだらう
 とびだせ
 とびだせ
 虫けらも人間も
 みんな此の光の中へ！
 みんな太陽の下にあつまれ

　





　

山村暮鳥　（１８８４〜１９２４）
出典：　筑摩書房刊　伊藤信吉編
「鑑賞現代詩　II」