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第10章    

アルギマンタス・パルタキス詩
 横川秀夫訳 高見優子朗読
 

 今、昼と夜とは等しく
 それら二つの中間に立ち
 俺は月に向って左手を伸ばし
 太陽に向って右手を伸ばす
 
 半分は光のなかに半分は暗黒のなかに立ち
 俺は光と暗との両方を理解する
 朝でもなくうす明るい夕刻でもない
 共にはっきりとしない瞬間
 
 秋分は完全に等しく領域を
 分割する ― 日中の領域と夜の領域
 未来と過去とはまたその領域を持ち
 今日の夜をひとしく分ける
 
 ほんの幕間のひととき、昼と夜とは等しく
 動脈と静脈のようによろこびはかなしみに等しい
 俺たちが目を向けるとき何時もそれは同じで
 すべての事象は均衡の法則に従う
 
 まるで大衆とは交じり合わないかのように
 男の心だけはその法則に従わず
 誇り高く独立して妥協せず
 最期まで左側にとどまる




アルギマンタス パルタキス (Algimantas Baltakis)
リ トアニア詩人 (1930−)
英語原文: リ トアニア共和国大使館 提供