
序章 あなたの魂 (ユリギス・ブレカイチス) 霧の中 (ヘルマン・ヘッセ) パルチザンの葬儀
(ジョナス・アイスチス)
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人間は誰でもより良い未来の日について
さまざまなことを語り、夢みるものだ。
幸福でかがやかしい目前にむかって、
人間はみんなあたふたと駆けてゆく。
この世界は古びて行き、そして再び若返るが、
人間は、いつも、より良きものへの希望を捨てない。
希望があって人間は生きがいを感ずるのだ。
希望は愉しげな子供のまわりにはためき、
希望はその魅惑の光で若者を惹きつける。
希望は老年と共に消えはしない。
人間がその疲れた夢みの終結を墓場の中に求める時も
人間は自分の墓のそばにかかげるのだ ― 遂げられかったその希望を ―
希望は断じて虚ろなまやかしの妄想などでもなければ
ばか者の頭脳のこねあげるものでもない。
胸の底から高らかにきこえてくるもの、
― われら、より良きものをもとめて生きる ―
このうちなる声の告げるところのもの、
これこそ希望を棄てない魂を裏切りはしない。
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フリードリッヒ・フォン・シラー (Friedrich von Schiller)
ドイツ詩人 (1759−1805)
出展: 神保光太郎編 「ドイツ詩集」 白鳳社刊
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