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第2章 自然 (14)

疾駆


車は突っ走る

むさしのの
 
バイパスを

ハイウエイを


ハナミズキの光る
白とピンクの

砲列の中を


緑ふかめる

桜並木や

天に叫ぶいちょう並木の

かろやかな黄みどりの中を


ねじれ赤松
黒くみどりに光り


おおや、まあ
ああんなところに

アカメガシワの紅の静かなる炎え


まだ
雪の下や山吹やチューリップなども

残っていて
 

おちこちに
紫もくれん


風景は流れ
なべての森や林たちは

それぞれめいめいの

うすみどり、きみどり、みどり、濃いみどり、そしてまた

えんじ色での混浴にあふれ


竹の林はうっそうとして
風にゆれうねり


糸杉は深い緑で
八方ねじれの

ゴッホの炎えをもえたぎり


春の嵐がワーンと一斉
大歓喜の獰猛なうなりを叫ぶ


じっさいまったく
武蔵野は

錯々綜々の大重畳