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第4章 記憶 (4)

ニ十年前の記憶


この写真を見ていると

すべての彫刻の歴史はミケランジェロのピエタに始まって

ミケランジェロのピエタで終ってしまっている気がするね

引き込まれてしまうようで言葉もないんだ


そうです神業なのです
だけど、神様をも超えてしまっているんです

その像を見るために僕は何度も

そのサン・ピエトロ大聖堂を訪れ

訪れる度にその像の前で朝から終日眺めていました

そして考えてみましたが

ミケランジェロは神であり
同時に芸術家という紛れもない人間なんですよね

ですけど人間をも神をもすら凌駕しているとも思えるんです


今日の連休の初日の床に着く前のひととき.こうしてその大理石のグラヴィ ア写真を見ながら.二十年も前のあのころ.同じ文化サークルの仲間で気のあう油絵を.こころざす青年とこの部屋で.熱っぽく語り 合ったことを.鮮明に思い出している.

同時にそのうしろのページに掲載されている.アカデミアにあるとい う. 奴隷という未完成のトルソーの.抜け出ようとする.凄ましい力感 の.印象 にも酔いながら