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第4章 宇宙 (7)

回 帰


わが亡骸は

その侭大地に埋めよ


場所は選ばぬが
でき得れば墓標に代えて

一本の樫の新芽をその上に植えよ


わが亡骸はやがて
大気の弛緩と収縮とそして地中の湿潤とによって

無数のバクティリアや昆虫類の共生を創り出し


樫の新芽が根づき育って行くとき
彼に必要なエネルギーを与えながら

再び大気に還元され


吸う 吐く
吸う 吐く


吸う息吐く息の
無尽の生命の中に放たれる


やがては突っこんで行くであろう
有や無や虚無やを遥かに超越した

崩壊という究極に向かって世界が傾斜しているように見えたにしても


地質の歴史の中にあって束の間のこの一時を
その上で鳥は謳い

夏の日照りにもその下に憩いの場の作られるように


わが生きた生への感謝の証として
わが亡骸はその侭大地に還元させよ