居間の
サイド・テーブルの上に置かれ
無造作に活けられた
一輪挿しのバラをみつめながら
僕は思う
バラを活けるのだったら
こんな風な無造作がよい、と
また
それがバラに対するせめてもの
愛と感謝の形ではないかとも
すっくりとまっすぐな細い首と
その頂点にあでやかに咲く
なんともいえない花の薄紅と
手を加えられたことのない葉の緑との
絶妙な色彩のハーモニーと形のバランス
しゃっきりとした一枝のバラを
無心にみつめながら
僕は心底感動する
つくづく美しい、と
そしてまた思う
涙をさそわれるほどに
実にけなげだとも