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(9章 断片 (17)

断片



もう十分に有名なんだからなんとかお金持ちになってくれってわよ。
 
ふーん、ファン気質ねえ。
 
 
 
女だけが子供を産まなければならないなんて、そんなの不公平よね
でしょーっ。 
えーっ、うっうーん、そうだよなー。
 
 
 
貧乏が趣味でいつもホラっきり吹いているんですって。
 
いるのよねえ、そういう人って、ときどき。
 
 
 
大海原、破船一隻。
 
砂漠・流砂、サボテンの白い花
 
 
 
ステレオがある音がでている思いきり音をあびる
 
ガーシュイン!、自由とその躍動
 
  
 
篆刻は独りで工夫しながらやっていくのが一番いい
 
詩もまたそうだ、いいや、なんでもすべからくそうだ
 
 
 
読む側と書く側との乖離を考える
 
解はなく
 
 
 
未来に向かって一つ一つ過去の思いを断ち切って行く
 
病んだ文学を捨て文学を生きる。わが行く道、詩。
 
 
 
床の間という美的限定空間を生活はもはや必要としなくなったか
 
押し入れという三尺・一間の基礎単位もやがては消えて行くか
 
間尺に合わない話もまた消えて行くか
 
 
 
わが居間は畳の部屋
 
端座してゆっくりとくつろぐ
 
 

篆刻刀ヲ握リ 
  五分角ノ
 
   石面ニ対ス。
 
   心
 
  丹田ニ
 
落チ
 
 
 
遠く西部園から花火の音、尺玉のズシンとした響きと寸玉の乱れ打ち
 
砕けて散ってこの夏も終る
 
 
 
放哉の愛し浸った鉦たたきの鳴き声に
 
俺もこうして浸っている
 
 
 
壁にかけられた 「渺渺萬里」 の扁額がひっかしがっている
 
キチンと水平に戻す、心シャッキリとする
 
 
 
九月四日月曜日朝六時三十分目覚む
 
口濯ぎ髭剃りて顔洗い髪櫛し深々と息を吸う
 
端座して茶を喫す
 
即ち憂いなし