しばらくのあいだは
窓のあたりのよどんだ空気も
わたしたちには邪魔にはならない
わたしたちはじっとして静かに動かずにいた
わたしの手は
扇のようにあなたの肋骨(あばら)の上にひらかれたまま
そしてあなたのは
ブレスレットのようにゆるっこく
わたしの手首のところにひらかれたまま
わたしたちのからだは
深い性のしずけさのなかで敏感になり
幻想はあばずれごころに刻みこまれた
このひとときはわたしたちのすべてのしあわせ
おもうがままに
最高に愛しあっている事とはどういうことかとわかったり
そしてまたそんな事をあきらめたらどうなるだろうと想ったりの
まれにしかない時間なのに
それでもなお満ちたりなくって