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あばずれ
(Jade)

 

 

しばらくのあいだは
 
窓のあたりのよどんだ空気も
 
わたしたちには邪魔にはならない
 
わたしたちはじっとして静かに動かずにいた

 
わたしの手は
 扇のようにあなたの肋骨(あばら)の上にひらかれたまま
 そしてあなたのは
 ブレスレットのようにゆるっこく
   
わたしの手首のところにひらかれたまま
 
わたしたちのからだは
 深い性のしずけさのなかで敏感になり
 幻想はあばずれごころに刻みこまれた

 
このひとときはわたしたちのすべてのしあわせ
 おもうがままに
 
最高に愛しあっている事とはどういうことかとわかったり
 そしてまたそんな事をあきらめたらどうなるだろうと想ったりの
 まれにしかない時間なのに
 それでもなお満ちたりなくって