ハンザ同盟都市でのある早朝


 
ビスマルクの
 
ハンザ同盟都市でのある早朝
 
オスマルッシェンのプルシアン通りを歩きながら
 
亜大陸の蛇の視力のような私の目が
 
カエデの木の根元に横たわる
 
もみくちゃになった秋の黄色のなかに
 
突然にがさがさとした動きをみつけ驚く。
 
 
   それはガランとした道路にちらばった
 
   ドイツの豊富さをつつく
 
   大鴉が食べ物をあさる姿、
 
   昨夜の雨で濡れて
 
   光る路上、
 
   側溝の鉄格子蓋上に輝く
 
   赤褐色のリンゴの散らばり。
 
 
      さらにカルックレイトの道の下方では
 
      コンピューターの赤と琥珀色の
 
      辛抱強いドイツのベンツが一台
 
      ルテランの鐘が次の
 
      安息日を告げるなかで
 
      緑をまちながらひっそりと
 
      道路を滑ってゆく。

 

戻る      次 へ