その夢は潰えるべきだったのだ


その夢はラッセル通りかあるいは
ロンドンのモスクワ通りで潰(つい)えるべきだったのだ、
私たちはその夢を刻みタバコの屍衣の下の
バスデプールに埋めさるべきだったのだ、
然し、私の子ども時代の
大陸を横切って君が呼んだとき、
私は心軽やかにやってきて
君の非難の種を私の腕にもち
また私のそれをつま先にもち
悪魔のような急斜面を下ってあてもなく歩き回った。
君が私たちにイタリヤ・ピザと
アンケル・ビールのマグカップと
ギターと白い衣服のジャワ人の少年の店に連れていったとき
私は心に喜びをもって従った、
然し私がもう一度夢みようとしたとき
その夢想家と共に
潰えるべきであった夢を
忘れることのできない歳老いてゆく心を
君は静かに打ち砕いた。

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