フィリス ホーゲ詩集 愛と祈りの彼方  (25)
横川 秀夫訳

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ブルー・ジンジャー ・ 既視体験



緑の茎の上、石のように深遠に
ほのかに光るジンジャーの炎が咲きさかっている。
その青が群生する静かな場所にひきこまれ
見つめる私たちの視線は眩暈しつづける。
くろい葉。渦巻き状のかなしげな花々。
まるでろうそくの光を見つめているみたいに、
視線はまた青い花々にもどり、私たちは静けさの中に沈みこむ。

光りかがやく精神のなかに花のひらくになんともおそく
まるでたったいま思いだしたみたいに、
花々は二重にかがやき。静けさの衝撃。
過ぎさった日々の陰影は燃えて花ひらき
そしてからだの内側からふるえながらよみがえる。
幻想という柔らかなへりにまで高められて、私たちが
確信できるものはなんなのだろう? ジンジャーのように
咲きさかる、それは青い炎。

 

 

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