ダイヤモンド
クリスチャン・ポンスの死
あなたがバルチックの海を横断したあの夜、死は
あなたのコートの下に強くからみつき、ああ、私のいとしい娘よ、
氷のように冷たい出来そこないの浪費家の慰めを求めて、あなたは
ダイヤモンドの深い悲しみを覆い隠した。死は孤独なできごと、
そしてどんな親切ごころもあなたの悲しみの氷を打ち砕くことはできなかた。
けれどキラキラ光る海面上の極寒の大気のなかにあって、
陸路を旅する者にとって大地の冷たさはいかに人々にとって酷であるかをあなたは知った。
あの時から、無感動な
北方の強固な意志に力づけられて、あなたは生きた、
そしてあなたは今や何ものにも負けはしない。けれど早すぎる死がその
楽譜を打ち砕かないためにも、あなたは
強くある必要はないのです。あなたは幸せであったかもしれない。ねえ、おまえ
このむきだしの、魂の罰せられている天の下にあって、だれも正しい愛を
持つことを厭いはしない。 私たちは灰になることを許されている。息は
無防備な肉体のなかに住み、曇った鏡の上に
私たちが読みとるサインはたちまちに消えてしまう。いきどおりに
答はない。悲しみはひどきにすぎ - 私たちにできることはただ耐えることだけ。
けれど絶望という爆発物の仕掛けられた坑道の中に押しこまれ、その重苦しさの下で、
ダイヤモンド − 輝く水の燃え、炎のゆらめき。
白い真夏のバラ、あなたは田舎の土地に帰ってきた。
あなたの顔写真の額縁には黒い窓ガラスが
写されている。青い花弁が髪を取り巻いている。遅きに失しました。
あなたの中にあるろうそくの光で、誰かを愛していることから来る
深い炎が燃えている。けれどあなたは一年も待たなければならなかった、
そして愛に請求書はないけれど、単に愛するがためにだけ愛して
一万マイルもの沈黙。これがそこにあるもののすべてなら、その愛は
生涯つづくでしょう − それで十分。愛は集合し過去の輝きを
持ち続けています。ダイヤモンド。その高価さが私たちを無力にする宝石その
石を持ち続けよ。いつくしめ、その愛を、無言の霜の中でガラス張りになった
アイデンテティをその中に見る、あの火のような石。
十一月のある夜、彼のギャラリーを訪れようとあなたは一人パリ市街へと
車を走らせた。窓ガラスを通してイメージが閃いた。あなたは
内側の狭い窓しきいを横切った。けれど死はそれよりも早く、
華麗なあなたを打ち壊した。亡失、
凍てつく緯度での亡失、あなたは、
深い悲しみを美に変える星を見た。ダイヤモンド、それはあなた。
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