武蔵野百景     現代詩による連歌   BACK TO HOME

 

武蔵野百景
横川  秀夫   シリーズ詩
  
演奏時間  11分25秒      本文テキスト
(はらっぱの会・音訳の会)
黒川 洋子  芝崎 このみ
鈴木 和子  松本 いずみ
真野 朋子
BGM by ピエロ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(1)
彼方 、欅の樹々は繊細な裸の枝々を陽光に震わせ 
真野 朋子 朗読
刈込のつつじの列の紅は煮え立って眼に痛く  (
黒川 洋子 朗読
しきみ樹の黒碧強く艶やかに光る  (
芝崎 このみ 朗読
楓の樹 、いきなりに紅蓮の炎 (
鈴木 和子 朗読
雀らの七八っ羽草叢をを飛びたち  (
松本 いずみ 朗読
ピラカンサスの実の目を射るマッド・レッド  (
真野 朋子 朗読
野菊のまっ黄っ黄色の乱れ咲き  (
黒川 洋子 朗読
早咲きの寒椿ひっそりと白い一輪  (
芝崎 このみ 朗読
枝垂れ柳はゆれうねりうねりうねって 鯨波をつくる  (
鈴木 和子 朗読
つむじ風、大地を這って枯れ落ち葉 くるくるくるくる舞い上がる 
松本 いずみ 朗
銀杏の樹々の黄金は轟々然と天に吠え  (
真野 朋子 朗読
ヒマラヤ杉あくまでも黒く巨きく  (
黒川 洋子 朗読
陽光にキラリキラリ枯れ葉舞い キラキラキラキラ枯れ葉舞う 
芝崎 このみ 朗読
(2)

すきとおった秋晴れの武蔵野 落ち葉を踏みひとり雑木林の小径を行く シャリシャリサクサク枯れ葉は歌い サクサクシャリシャリ枯れ葉は饒舌で 寒さに向かう樹木たちは爽やかに立ちつづけ その不動の沈黙は毅然として倫理を語り  (
鈴木 和子 朗読
(3)

季節は確実に春に向かっている真冬の大気の中 ふんわりとした綿雲の浮かぶ筒抜けの青天井の下 武蔵野の原野の風を切り裂きアクセルを目一杯にしてバイクを飛ばす ブナやクヌギやケヤキやサクラや その他もろもろの裸の樹木たちの枝々は 無数の目には見えない固く小さなそれぞれのつぼみから これもまた目には見えない 膨々大巨大な大地のエネルギーを 無限の空間に向かって静かに放射し 聞こえぬ叫びを天に放つ 排気を撒き散らし 爆音を轟かせながら 自らの滅びを その身体に歌わせて バイクは 突っ走る  (
松本 いずみ 朗読
(4)

正午太陽仰角六十度 微風もなく雲一つないコバルトの大空 広いグラウンドの土を踏みひとり歩く 四方を囲む桜の樹々の繊細な毛根の枝々は 天に震え 大地の弾力は直に足裏から 全身に伝い拡がり 大気の中に放散して行く  (
黒川 洋子 朗読
(5)

どんよりとした重たい曇天の雲の切れ目から わずかな陽光がそそぐ大寒の日のグラウンド 鳩の数十羽大空に展開し ゆんゆんとさつさつと頭上に近づき またはるか遠のき ヒラヒラとキラキラと さながら 天空たかく旋風に踊る枯れ葉のごと 旋回し近づきまた遠のき 桜の樹々は 豪々然と極寒を耐え 既にして 枝々にはとんがった無数の堅い冬芽の 春を目指す  (
芝崎 このみ 朗読
(6)

待ちに待った 一本の欅の 稀有な芽吹きをまっこと見る 樹立 豪放にしてまた毅然 無垢に育ち 思春期の樹齢百年 枝々に黄緑ふきだし 可憐にして清楚繊細 品格たかい 大歓喜 もえあがりその炎は 方円と作り 天に向かって 無限の膨張の姿をつくる じっさいまったく武蔵野は 欅の若葉の 萌え出すとき  (
真野 朋子 朗読
(7)

鉛の雨雲 全面 天蓋を閉じ  (
鈴木 和子 朗読
春まだき 桜 咲かず  (
松本 いずみ 朗読 
畑の土は 真っ黒の 肥沃  (
真野 朋子 朗読 
雑木林は茶色に煙り 無数のねじれ針金の屏風となり さきがけの火事桜 濃く煮えるワイン・レッドで五本六本  (
黒川 洋子 朗読 
なんだ、あれは しだれ柳の まるっきりの萌黄色  (
芝崎 このみ 朗読 
裸の欅の巨木の手前 竹の群の密生は 常緑の繁みの みずからの重たさに耐え  (
鈴木 和子 朗読
肩からザックリ片腕斬られなをメタセコイア 轟然と聳え  (
松本 いずみ 朗読
れんぎょうのマッド・イエロー もくれんの熱帯ホワイト 雪柳、処女のはなやぎ  (
真野 朋子 朗読
こでまりは これからが娘盛りか  (
黒川 洋子 朗読
汚きは だんだらの椿の散りざま  (
芝崎 このみ 朗読
ボケの冴えた 紅白の饗宴  (
鈴木 和子 朗読
時、まさに 美の歓喜の 猛烈な大爆発の 重っ苦しく息づまる 春の直前  (
松本 いずみ 朗読
(8)
車は突っ走る むさしのの バイパスを ハイウエイを  (
真野 朋子 朗読
ハナミズキの光る 白とピンクの 砲列の中を  (
黒川 洋子 朗読
緑ふかめる 桜並木や天に叫ぶいちょう並木の かろやかな黄みどりの中を  (
芝崎 このみ 朗読
ねじれ赤松 黒くみどりに光り  (
鈴木 和子 朗読
おおや、まあ ああんなところに アカメガシワの紅の静かなる炎え  (
松本 いずみ 朗読
まだ 雪柳や山吹やチューリップなども 残っていて  (
真野 朋子 朗読
おちこちに 紫もくれん  (
黒川 洋子 朗読
風景は流れ なべての森や林たちは それぞれめいめいの うすみどり、きみどり、みどり、濃いみどり、そしてまた えんじ色での混浴にあふれ  (
芝崎 このみ 朗読
竹の林はうっそうとして 風にゆれうねり  (
鈴木 和子 朗読
糸杉は深い緑で 八方ねじれの ゴッホの炎えをもえたぎり  (
松本 いずみ 朗読
春の嵐がワーンと一斉 大歓喜の獰猛なうなりを叫ぶ  (
芝崎 このみ 朗読) じっさいまったく 武蔵野は 錯々綜々の大重畳  (真野 朋子 朗読
(9)

霧雨のなか ひとり武蔵野の 小径をゆく 風景はとろけ 神々は静かに憩い眠り なべて茫洋  
松本 いずみ 朗読
(10)

ひっそりとした団地の角の小公園 桜が豪放満開の頂点 気がつけばその桜の下 いつの間にか たわわにもあでやかな椿のクリムゾン 光るボケのピンクと真紅の二重奏 目を射るれんぎょうのまっきっ黄 めくるめく春の色彩は まったくある日 とう突然  (
芝崎 このみ 朗読
(11)

陽が登るとともに歩き 腹の空きかげんにあわせて食し 陽が沈み疲れて眠る はるけくもこの終りのない旅は 目指していずこへと赴くか なぜに旅なのかと いったいに何ごとなのかとも思い 終りのない旅のさなか 足をとめ沈丁花の芳香を深く吸い 雪柳のあでやかな白にめまいして また歩きつづける  
真野 朋子 朗読

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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