十年の死


 
君の日々の顔を見
 
また君がフルートを奏するを聞き
 
あるいは君が私の膝を枕にその頭を憩わせ
 
私の足先を愛撫し
 
静かにまるまって眠りにつくこともなく
 
君は毟りとられて逝った。
 
 
   最初の十年をとおして
 
   我らの仲を引き裂き
 
   君の生涯を引きずった
 
   あの破壊、
 
   けれども我らは許した
 
   あの最初の殉教。
 
 
      我らが穏やかな花々は
 
      二度目の磔刑は彼らの上に為されることを
 
      知るであろうか、
 
      すなわち彼らは胴回りを増し
 
      大枝をはぐくみ
 
      太陽に向かって伸びつづけ
 
      新鮮で濃緑の葉を繁らせ
 
      静かに大地に落ちてゆき
 
      我らが古代の腕のなかに
 
      ふたたび彼らの優しさを巣作るのだ。

 

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