あまりにも遠くに旅して


 
願うべきであったこと
 
それは年老いたムクトリが
 
若手のなかまが着く先に
 
飛んでいってそこに巣作ることができるのだ、ということ ―
 
 
   小川のくぼ地が
 
   平らかになり
 
   激しい渦巻きが清流の静かな流れの
 
   なかに同化する、ということ ―
 
 
      傷つきさった心が
 
      石のように
 
      下に広がる褐色の大地に
 
      ずしんとした硬さに
 
      まっすぐに落ちはしないだろう、ということ ―
 
 
         自分の夢をふみはずしても
 
         傷つきもせず傷あとも残らず
 
         どこかに到達している自分を見出しうる、ということ ―
 
 
            私は私自身を説得し
 
            族を崩壊させないようにと努めながら
 
            喜びにもえるこうしたひと時ひと時が
 
            穏やかに炎のなかに明るく燃え
 
            純粋で無垢な
 
            あなたが座って待つ
 
            その場所に私をクギ付けにする、ということ ―
 
 
               あなたは私の内面に
 
               ナイフをささやかせているのだから、
 
               私は私の内なる心を露出し
 
               あからさまにすべきではなかった。
 
               私はあまりにも遠くにそして
 
               間違った各地へと旅をしすぎた。
 
               待機はいまや退屈と疲労に
 
               包まれてうさんくさい。
 
               怖れは救いとして
 
               訪れることは稀で、
 
               待つという
 
               待つという
 
               手持ち無沙汰
 
               なんにも
 
               起こりはしない。

 

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