ひとつのねがい


 
私は君や彼女たちの痛みを忘れ
 
自分の痛みだけを考えていた、
 
私たちのよろこびは偽りであったか
 
ほんとうであったか? はじまりのころのあの怖れは?
 
 
  風変わりな給仕のいる舞踏会で
 
  黄金の降り注ぐ壁に囲まれ
 
  ペチュニアの花々のまんなかで私たちは茶をたのしんだのは
 
  二年前のことだった。
 
 
    私は仮装して
 
    ホテル パールの前扉を通って彼女に会いにゆき
 
    そして実際まったく驚くべきことに
 
    大騒ぎの後扉の幕切れだった。
 
 
       すべてステンド ガラスとカラー タイル造りの
 
       ジャム セホロのシンデーのバロック風な家で
 
       私たちは私たちが戦った戦争や
 
       あの将軍の狡猾な欺瞞について話しあった。
 
 
          ビガン・アクタールは帯剣を外し
 
          「イェ ナ チ ハマリ キスマト」
 
          私は陰謀と残酷な秘儀の
 
          ビザンチンの物語を披露した。
 
 
            それから二年後の同じ日に
 
            君が知る誰かほかの人のように
 
            「彼女」 が君を愛しつづけてくれるようにと
 
            私はねがう、
 
            そしてまた君の命運が私の古いねじれた命運の上にも
 
            輝いてくれることをねがう
 
            恋を失った男に
 
           もう涙は湧かない。

 

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