色あせ疲れきった娘カルカッタ


 
朝の新鮮な食欲の希望のなか
 
鼻孔を突き燃え上がる
 
悪臭をはなち漂う酸性の空気。
 
むかつくような石畳
 
亀裂した下水道はほとばしり、
 
拡がりつづける水溜りに
 
濃い褐色が渦巻き泡だっている。
 
早朝の町に流出する
 
放置された汚物
 
疲れきった人力車夫
 
洗われて光る人力車。
 
 
   色あせ疲れきった娘
 
   多くの人々がその賞賛を歌う
 
   宮殿の町
 
   総督の豪華な腰掛
 
 
      煤煙で煤け
 
      靴磨きのような建物がならぶ通りを
 
      歩くことを私の精神は許さない、
 
      崩れたかかった塀に凭れかかる椰子の木
 
      いたいけな少年はだらしなく
 
      うずくまり
 
      意気消沈のビクトリア ゴジック
 
      それにぴったりと密着した
 
      うさんくさい高層ビル
 
      ピンクと赤のモザイク模様。
 
 
         蝿の糞のしみつぃたサラガッソの青緑の若い女は
 
         小さなバブルに向かい合い、
 
         公共工場を隠蔽する
 
         木蔦で覆われた壁
 
         強制された退屈。
 
 
            それから新しく発見されたパルテノンのような
 
            汚い海のなかのオアシスもどきの
 
            スタジアム、
 
            無益な競技は催され
 
            この色あせ疲れきった娘には
 
            勝ち取ることのできないトロフィーが競われる。

 

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