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第4章 記憶 (5)

疑問点


中学生になると理科の時間に電気が登場する
私にとって.理科は好きな学科であったが、ある日から.興味が中断し苦手な学科に変った。授業中、落雷の原理について.なぜ空中に帯電された電気は地に走り,空中では放電し合わないのか.と質問するとそれは空中に帯電された電気は.プラスであり大地はマイナスであるからだという極めて明快な.先生の説明であった。

それでは、空中には何故プラスの電気しか帯電されないのか.何故地球はマイナス電気なのか.と私は思ったが.その点について質問しそびれ、そうした基礎原理についての理解を欠いた結果.それから二層交流・三層交流といった方面に.授業が進展するにつれて.ますます解らなくなり、理科という学科を.私は苦手になったのである。つまりその時の私の疑問点が.先生には分からなかったのでありその疑問はいまも私の中に続いているのだから.おかしな話だ。

また数学の時間に.先生が何故レコード盤に録音された音楽は.針が中心に進むにつれて早くならないのか.と言う同じ疑問を感じていた者も.そのクラスには幾人かいて.少し授業が私語でざわついた録音される速度どおりに.音は再生されるのだから.針が一周する速度に.音楽の早い遅いは関係がない、と.誰かが答え、ああそういう点からの.先生の質問だったのかと.私はその時初めてその質問の意味が.分ったのである

こうした行き違いは.結構よくあるみたいだ