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第4章 宇宙 (1)

白 夜


今夜のシャークはとてもやさしい
 
針魚(さより)のようにたおやかだ
 

四十年と零ヶ月五日の命
生きた


悲哀の歌を聴く
歓喜の円舞をみる


酔い酔うて酔いの果て
夜が明けそめる


この身いつまで生くべきか
幾歳(いつ)まで命の続くべき


言葉など
とうの昔に捨て去った


よろこびは満ち
夜はカッキリと明け


眠りのない
昼がまたはじまる


終りのない
白い夜


私小説の
暗い穴蔵


エチルは胃壁を焼けど
酔いは醒め


しらじらしい
虚空のただなか


脳髄は冴え
冴えわたる


冴えてカミソリ刃の
鋭く痛く光る一瞬


不可思議は
透明公開の実験室


生きて生き生き抜く
かなしく狂おしい本性(さが)


切り開く
己が道


光は満ち
自在