一年前のことだった
そんなにも親密な間柄ではなかったが
知り合いの一人の男が孤独な急死をとげた
梅雨明けも間近とて暖房器具をしまいこむため
納戸をを整理していると
棚の上に志の上紙がつけられたままの
箱に納められた一枚の絵皿に気づく
葬儀の一切がその男の親友の手で執り行われ賄われ
それからしばらくしてその親友の男から
送られてきたものであったが
心あってもなかなかにできぬこととも
また 「仏法値ふに希なり」 とも思われ
仕事部屋を外に借り空きのできた居間のサイド・テーブルの上に
その皿は飾られ
消えることのない記憶がまたひとつ
形あるものとなって
身辺に置かれることになった