至 点

         一九九五年十二月の新月の日に


 
11月はすでに過ぎ
 
キンセンカの光
 
火を噴くプラタナスの木々

 
たそがれどきの煙のさなかの褐色の幽霊、
 
枯れたひまわりの茎は立ちつづける。

 
いまは12月。明るい星が見える。
 
日々の算盤はオークの月が
 
欠ける日までの日数を数え

 
ボタンのようなスズカケの種子は
 
裸の枝にぶら下がり

 
日没どきの夕焼け空、そして苦々しい朝の
 
青い雪風。日暮ははやく、クリスマス ツリーに
 
咲き盛る電球。

 
ホラチウスのように私たちは
 
花を咲かし続ける水の泉と庭園を夢みる。

 
私たちは花々を、蜂たちを
 
また柔らかな春の大気が
 
風向計をかき回すのを待ちのぞむ。

 
冬至の正午の弱々しい太陽は
 
日ごとに時間を延ばしてゆく
 
蒼い誓いを投げかける。

 
いま、忘れられずに残っている森林地帯で
 
アメリカ マンサクは
 
四つの鮮黄色の花弁を広げ開花を待つ。

 

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