フィリス ホーゲ詩集 愛と祈りの彼方  (48)
横川 秀夫訳

BACK        NEXT

 


大晦日に
樹木に覆われた山に私はやって来た
初雪は私の歩く常緑樹のあいだに
新たに降り積っていた。ここでは、

寒さの中で松の木々に積った雪のあいだに
過ぎ去ったばかりの年の幻想は破れ、
私は破滅した。私が失ったすべてのものは
重たくまとわりついていた。火が褪せはじめるには

老齢にすぎる太陽光。
暗闇は凍った通路を噛んだ。
風は私の背中をこつこつと叩いた。
青い影のなかの静けさ、

私は重たさを背負った。心の動揺を
鎮め、時間を瞬間のなかに凍結する
風の静けさの
なんという深さ。雪の

眠りは私の失ったものを取り囲んだ。
けれど悲嘆にも慰めにも似て
この世で愛ほど耐えるに
過酷なものはない。

 

BACK        NEXT