四月なかば   サイカチの木     鶴の巣川沿いの四月
バージニア州ダンガノンの クリンチ川に沿って   ブリザードの中の町
秋「私たちがまた会うことは絶対にないだろう」
と歌う女性の
追 憶     青い光の光のなかに醒めて横たわりロイスについて思う     BACK TO TOP

 
ブリザードのなかの町



 暗い嵐に打ちひしがれた石の町
 電気プルートの音の純粋な湧きあがり
 ガラスのように輝く金色の球体、二十日大根の葉
 夜のとばり、雪と種の球
 
 赤みがかって気だるく巨大な
 窓の金色の隙間から光はこぼれ

 


 

 
 彼は旅費のかわりに
 オパールと砂金石をたずさえてこの町にやってきた
 彼を男とも女とも思うな、四つの音程として考えよ 

 なぐさめよりも重たい物がある
  春の雪のなかで咲く桃の木
 スノーグラスの原野
 白い木と白い葉っぱの木立
 ほら穴の口には

 風も黒水晶もな い
 埃っぽい夏に落ちかかる雨
 炭素の心臓をもった町
 蒼白がかった深紅色の根を持った木々
 亜鉛のオーボエが鳴っている
 
 遠くにある川の銀色
 凍った雨の下の氷の川
 籠のなかの古びたカワウソの皮のように大気は陰鬱
 


 
名もない礼拝の歌を歌い
 未来を占ってもらうのに彼は三つのオパールを支払った
 
 表情を変えない深く輝く眼をもった
 猫の顔を誰が読むことができるか
 
 太陽の白い縁から芽吹く星の炭素
 彼女は彼が死ぬであろう日付を
 告げようとはしなかった
 
 読者はこうした世界を何と呼ぶか