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第1章 メッセージ (6)

パタゴニアの氷河


遠くパタゴニアのこの地では

累々累々降る雪の

積もり積もった堆積は

その自らの重たさから

記録を絶した時間の果てに

堅い堅い氷となり

広範巨大な氷河と作(な)る


凍りの河はずっしり動かず
青く青くなお青く

ミリミリミシミシ

低さを求め

天然の理科の法則に従い

ジッ ジッ ジッ

自らは動かずにして動き


ついには裂けて轟音となり
大気を揺るがし

水に沈みまた浮かび

静かに静かに言葉なく

その天然の究極に還って行く


なんたる累積
なんたる無言

なんたるの凄絶