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第6章 おもしろ話 (2)

女の21世紀
 


私の書斎には.大きな世界地図とOくんが撮った
.枯れすすきの小さな写真パネルが.向き 合って飾ってある。パネルは.私の座り机の上方の壁に掛けられていて.地図は.反対側のソ ファーの上方である。これは.私なりの洒落のつもりなのだが、最近.その写真パネルの下あたりに.ランナウエイズというアメリカの女性だけのロックグループが演奏中の..立派なポ スターが貼られた。こいつは凄い、その凄さといったら.次の如くである。
 
写真には
.四人のヤンキー娘。一番左端は.アマゾネスの戦士そっくりでエレキギターを 肩.からつるし顔を上向けていて、男のようにたくましい声帯が.のど元にふくらんでいる、太い首をしている、牛のようだ、栗色の髪で.黒い皮ジャンパー。この隣が.これは実際もの凄い、典型的なキャンキャン娘で.ブロンド、着替えの途中で.舞台に飛び出してきたような.格好をしている、白い中世的ボディコルセットに.ガーターベルト、黒の網ストッキングで仁王立ち.股を広げて腰を突き出しくねらせ.浪花節をうなっているような雰囲気で.マイク片手に歌っている。その隣には.他の二人が白痴的美しさで.ギターをぶらさげボンヤリ立っているという塩梅だ。ポスターに曰く、
 
男たちよ受けてみよ
 
全ての常識に対して叩き付けられた
 
五人のロックガールズの
 
挑戦状を
 
 
このポスターが貼られるまでは.小さな写真パネルと向き合った
.大きな世界地図は何となくうらぶれて.元気がなかったのだが、これら女たちのポスターが貼られた瞬間.地図は急に元気になって、俺はそんなものにはビクともしなえ、と言い出したのだ。  
 
部屋に置かれた物には、それぞれの自己主張があり
.感情があり表情があるものだ。私はこのロック・グループのポスターと.世界地図を対決させてみて、世界地図が掛け値なしに、ヘン.といった表情に変ったので安心した。
 
何が.女の21世紀だ!
 
 
ウーマン・リブの闘志たちよ、
 
私は絶対にフェミニストだ
 
私をいじめてくれるな