プレリュード・序 詩 | 第 1 章 | 第 2 章 | 第 3 章 | 第 4 章 | 第 5 章 | 第 6 章 | 第 7 章
第 8 章 |  第 9 章 | 第 10 章 | 第 11 章 | 第 12 章 | 終  章 | BACK TO TOP

第9章 へ

第8章 置物 (14)

飾り棚


所帯道具なんかまるっきりなくっての

たしか20年前

今でも私専用で使っている

大きめの洋だんすを買ったとき

ついでのこととて

幅半間のガラス戸つきの吊飾り棚をも買い求めた

コケシや人形や記念の盾やなんやかや

佳いものっきりの思い出や

それぞれの気持や心なんかも

ギッシリとつめこまれ

様々なガラクタを蔵しながら

注意を払われることもなくこの飾り棚

――動かせるものなら、と

窓の下の一間巾の本棚の上に

デンと座を占め

動こうともしない