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第9章 断片 (2)

飛 翔
 


二十秒か三十秒かそれとも数秒の間か判然とせぬが、時折わずかの間

一種名状し難い情念が私の中に湧きそして私を包むことがある。つらく涙

を誘うような生理的感覚をそれは伴っている。

 
そしてまたそれは、時空を超えた宇宙の果てのそのまた果てのなあんに

もない所へ行ってしまいたい、という情念につながっている。