プレリュード・序 詩　｜　第 １ 章　｜　第 ２ 章　｜　第 ３ 章　｜　第 ４ 章　｜　第 ５ 章　｜　第 ６ 章　｜　第 ７ 章
第 ８ 章　｜　　第 ９ 章　｜　第 １０ 章　｜　第 １１ 章　｜　第 １２ 章　｜　終  章　｜ BACK TO TOP

次 へ ⇒

第１０章　東と西　（４）

オーケストラ風景
　

りつめた静寂のなかで　
よく伸びた体の高みから　
指揮棒は振りおろされる　
　
楽器はきらびうやかに光を放ち　
訓練された筋肉は一斉に躍動する　
　
世界は棒の先端に集約され　
純粋に音の世界がつくられると　
やがてすべてが消え去って　
無音の大合唱が湧き上る　
　
生っ粋の佳い土の香が漂い　
踏まえ貫く愛の　
声明も似た世界が現出する