ブリザードのなかの町


 
暗い嵐に打ちすえられた石の町 電気フルートの澄んだ陽気さ
 
ガラスのように明るい金の球体 二十日大根の葉
 
黄昏 雪と種の血統

 
月は巨大で、赤みがかかって鈍く
 
窓の金色の裂け目から明りが光る

 
生活費のための オパールと砂金石をたずさえ 彼はこの国にやってきた
 
彼を男であるか女であるかは考えるな けれども四つの声の音域としてとらえよ

 
なぐさめよりも重いものがある

 
春の雪のなかの花咲く梨の木 スノーグラスの原野
 
白い木々の小さな森 白い葉群 無風
 
そして洞窟の口の 黒水晶の影

 
降る雨 夏の塵埃 炭素の芯のある町
 
弱々しい鮮紅色の根の木々 亜鉛製のオーボエが鳴り

 
遠くの川の銀色
 
氷雨の下の氷河

 
大気は篭のなかの古いカワウソの毛皮のように陰鬱で

 
彼は未知の祈祷を唱え
 
そして自分の未来を占ってもらうため 三つのオパールを支払った

 
人は、表情を変えない深く明るい目の
 
猫の面相占いを為し得るか

 
太陽の白い縁から沸き立つ星の炭素
 
占い女は彼の死ぬ日を 彼に告げようとはしない

 
この世界 これを貴方は何と呼ぶか

 

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