彼女はアフリカに農場を持っていた


 
白いコーヒーの
 
花の上に
 
葉の上に
 
星の光のように冷たい
 
雨が降っている、アフリカの雨

 
マドンナ リリーは深い水底で
 
阿片のように咲き

 
レコードプレイヤーではストラヴィンスキーと
 
少年合唱団たちが
 
キンキン音の歌をうたっている

 
    *

 

 
クリスタルの音が
 
はじけ

 
彼の飛行機はヒメハギの茂みに
 
墜落

 
彼は死に
 
私たちはライオンの息の下の
 
あの砂っぽい風景のなかに
 
彼を埋葬した

 
    *

 
デンマークで
 
降雪の下
 
私はアフリカでのいまわしい日々を
 
カーニバルを
 
思い出そうとする

 
ライオンは私の眠りを妨げ
 
孤独という塩辛い片隅で
 
自分自身を救うために小説を書きながら
 
私は生きる

 
赤いヒメハギの茂みで
 
一晩中幻月は唸り

 
括弧を閉じて
 
私は過去の不幸のなかに死ぬ

 

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