ざるで水を運ぶ


 
私たちはごちゃごちゃになって
 
夢の時間のなかに引きこまれる

 金色の目をした
 
広い野原

 
月は
 
古い音楽が脈うつ
 
縦仕切りの窓に映り

 
オードリー ヘップバーンはスイスで死に
 
彼女の夫と恋人たちは集う

 
私たちが若かったころ彼女もまた若かった
 
 
閉じ込められたオウムがえしたちは大声で叫び
 
爆発する遊星に満ちた
 
コバルト色の空の下の青い屋根たち

 
夜の川の深みから
 
変らぬ声で呼びながら
 
カッコウは歌う

 
グローリア グラハムはいまいずこ?

 
彼女の伝記ですら
 
棚から消えた

 
古びた町に咲く
 
サフランモドキ
 
ハマニガモドキ
 
ムギセンノウ

 
誰が私たちのことを考えるか?
 
私たちだって昔は女だったというのに

 

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