四月、盲目になって


正午のぎらつく直射光のなか
燦然たる道路にそって
高い楡の木々は
その種である紙製のコインと
古い花の紙製のペニー貨をふるい落とす

医者は言う、蠕虫が前夜を食むまえの
一ヶ月、と。

彼は夕ぐれと眠りとをおそれ
夜中に歩きまわることをおそれる。

彼は車の間に渦まく風のなかに
楡のコインがおちる
かさこそという音をきく。

いまやコインは
蠕虫を買収しえないことを
彼は知っている

金の夏がきて、車は
並木道でその亜鉛の音楽を奏でる。

彼は夜を待ちのぞみ

光がもどってきて
長い夢のなかで彼は
行き交う車のクレヨンの色と
火をつかまえるペイズリーのダリヤを見る。

 

戻る    次へ