フィリス ホーゲ詩集 愛と祈りの彼方  (21)
横川 秀夫訳

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子供のころ


初雪が降った。
家の中、板の間の床に脚を組み。
私たちはたがいに向かいあっていた。
あたたかい毛布にくるまって、
私たちは一晩中はなした。
ランプなどなかった。月は
窓からあふれ寒い部屋に充満し
ゆっくりと壁をめぐって移動し
そして夜明けには去った。

半世紀のあいだに
私はこんなしあわせをたぶん五回経験している。

あなたは十二月に十二才になった。
私にはわからない、なぜに私は春じゅう泣き暮らしたのか
そして私は何に焦がれていたのか。

 

 

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