フィリス ホーゲ詩集 愛と祈りの彼方  (28)
横川 秀夫訳

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四つの魚釣歌
ハワイ語の歌 "Pele and Hi'iaka" の翻訳

1   ハ ア

なんと百万の魚の群
鷲づかみにしようとこおどりし
捕まえようとの両の手まじかに踊る
潮の中のすばやい閃光 (ひかり)

ハア、満月の浜辺で
素っ裸での膝曲げ踊り。
そーりゃ、海辺での
腰の高低

おーっと、魚どもは手をすりぬけて
踊りながら、逃げてった、
魚づかみは失敗で - 終わりだよ -
魚づかみは踊りながら終わったよ。

2   マーニョ

マーニョよ、物憂げなキッスで俺をつつく
冷たい目をした、チビっこよ
だけど今こうやって俺たちは海の深くで泳いでいて
おまえは海草の間をスラリスラリと素早く
出たり入ったり - また突ついたり。おやまあ、おまえはでっかいよ。
おまえは鮫で、俺の負け。

3   アロハ コナ

ちらちらとした光の中に憩う
コナの家で
蒸し暑い夜につかまえた
その家と同じようにちらちら光る魚をわたしは好きだった。

今、夜々は寒く、その恋人は去った。

そのころそれは初めてのことで
そうしたことはそれまではまったくなかった。
わたしはその魚を好きだった、
その思いは、ちらちらと光りながら、
コナの平穏の中に憩っていた。

4   ホノコハウ

激しい雨がホノコハウを篠つかせ
ホノルアの港の上空
アワの葉を吹き千切り撒き散らし
悲しみの風が渡る。
そのいや増す悲しみから
葉っぱたちの舞い落ちるところ、
葉っぱたちは海水をなだめ。

それから乙女は海辺の水際におりて行き
オピヒ貝を強い指で掘り起こし
手のひらを冷え冷えとした海苔の上でこすり
男を握り締め、男の背中をその爪でひっかき
そのうららかな海の辺で男は自分のものだとの印をつけ --
不器用な恋の苦悩に傷つく乙女。

そして死んでいった、その乙女。

 

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