青い星の光のなかに醒めて
横たわりロイスについて思う
 朗 読　高見　優子


ひっきりなしに
降りつづく雪のなかで
年を重ね

ミネソタの
ビルの基底の地階の建設に携る
あなたについて思う

また伝説と夢のなかに行ってしまった夏や
南部での四月のあのころ
互いに如何に若かったか
について
（ジーン セバーグはいまだアイオアにいて
グレース ケリーの子供たちは
まだ生まれてはいなくって）

また男は不実であると
あなたがかって言ったことや

未婚の母として
子供をもちたいと言ったことや

（なによりもとりわけ
あなたが好きであった
青い色の便箋を使って）
私は書き送りたい

私たちが三度も見た
あの映画のなかの
グレース ケリーがドライブした

地中海の
断崖にそって
昨年私があの道をドライブしたことについて
あなたに話したい

昨年の秋
「ボンジュール トリステッセ」 を
再び読みました
（あなたが二番目のレコード溝につけた
傷がまだそこに
残っています）
ジャッキー グリーソンの
Music to Make You Misty を聞きました

秘めやかな果樹園の
リンゴの芳香について
書き送りたい

あなたが答えようとはしない
質問を私はしたい

あなたが尋ねようとはしない
質問に
私は答えたい