萩原 朔太郎 特集
 旅 上      白い月   晩 秋   自然の背後に隠れて居る   蛙の死   馬車の中で   BACK TO INDEX

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旅 上  

高見 優子 朗読


 


 ふらんすへ行きたしと思へども
 ふらんすはあまりにも遠し
 せめては新しき背広を着て
 きままなる旅にいでてみん。
 汽車が山道をゆくとき
 みづいろの窓によりかかりて
 われひとりうれしきことをおもはむ
 五月の朝のしののめ
 うら若草のもえいづる心まかせに。